労働基準法は、労働条件について最低基準を定める為に作られた法律です。
従って、労働基準法を満たしていない労働契約や就業規則は無効となり、
労働基準法で定める最低基準まで引き上げられます。
また、労働基準法で定める労働条件は最低のものであるから、労働関係の当事者はこの基準を理由として
労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければなりません。
労働基準法には様々な規定がありますが、その規定に違反すると罰せられることもあります。
罰則としては罰金刑等がありますが、最悪の場合、懲役刑に服することもあります。
労働基準法は、労働者を使用する全ての事業場に適用されるものであり、この労働者には正社員のみならず、
臨時、パートタイマー、アルバイト等も含まれます。
労働基準法は労働者を保護するする為の法律であるため、労働者はこの法律に違反する事実がある場合には、
労働基準監督機関に申告することができるとされており、使用者は労働者がこの申告をしたことを理由として
解雇等不利益な扱いをしてはならないとしています。
実際には、
強制労働の禁止
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、
労働者の意思に反して労働を強制してはなりません。
なお、この法律に違反した場合は、労働基準法上最も重い罰則
(1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)が科せられます。
(法5条)
労働条件の明示
使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間、その他の
労働条件を明示しなければなりません。
(法15条1項)
中間搾取の排除
何人も法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して
利益を得てはなりません。
(法6条)
解雇制限
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休養する期間
及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間(※)
及びその後30日間は解雇してはなりません。(原則)
※出産予定日以前6週間及び産後8週間
(法18条)
解雇予告
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告
をしなければなりません。30日前に予告をしない使用者は
最高で30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。(原則)
(法20条1項)
賃金支払い5原則
賃金は、
@通貨払いの原則:賃金は、通貨で支払わなければなりません。
A直接払の原則:賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。
(親や代理人に支払うことは出来ません。)
B全額払いの原則:賃金は、その全額を支払わなければなりません。
C毎月1回以上払いの原則:賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
D一定期日払いの原則:賃金は、毎月一定期日に支払わなければなりません。
(法24条)
休憩の付与
労働時間に応じて以下の休憩時間を付与しなければなりません。
・労働時間が6時間までの場合:休憩を付与する必要なし
・労働時間が6時間を超え8時間までの場合:少なくとも45分
・労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間
(法34条1項)
36協定
使用者は、労使協定を締結しこれを行政官庁に届け出た場合には、
その協定で定めるところによって法定労働時間を延長し又は法定休日に労働させることが出来ます。
(法36条1項)
割増賃金
労働時間を延長し又は休日労働させた場合には、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で
それぞれ政令で定める以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
<法改正>1カ月の延長時間が60時間を超えた場合、そん超えた時間に係る割増賃金は
通常の労働時間の賃金の5割以上の率で計算しなければなりません。
(法37条1項、4項)
年次有給休暇の付与
使用者は、雇い入れの日から起算して6カ月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、
継続し又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。
(法39条1項)
等、様々な条件が規定されています。
※労働基準法は民法より優先される法律になります。