上原社会保険労務士事務所は、中小会社主様だけでなく個人の方までトータルにサポート致します。

事業主の皆様、あなたの会社は「３６協定」を締結していますか？
「３６協定って何？」と思った事業主の皆様、あなたは会社の経営について お近くの社会保険労務士に一度ご相談することをお勧め致します。

『３６協定』を締結せず従業員に残業させることは、労働基準法では違法行為とされています。 つまり、このページを見て『３６協定』を知らない事業主の方は、

残業代を減らしたい！　⇒　従業員に残業をさせている　⇒　『３６協定』を知らない
⇒　労働基準法上違法行為をしている可能性大

ということになります。

【３６協定とは何か？】
労働者を、法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働させる為に必要な労働基準法第36条に基づく 労働者と使用者間で締結する協定を言います。

労働基準法では、労働時間が原則１日８時間又は１週間４０時間(特例事業場は４４時間)を超えた場合は、 通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の２割５分以上５割以下の範囲内で、 それぞれ政令で定める以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
この１日８時間又は１週間４０時間を『法定労働時間』と言います。

つまり、法定労働時間以上労働させた場合は、通常の賃金＋割増賃金を支払わなければならないということです。

例えば社員が以下のように働いた場合は、

曜日	月	火	水	木	金	土	日
労働時間	8	7	8	9	8	休日	休日

１週間の労働時間は４０時間で法定労働時間範囲内ですが、木曜日が１日８時間の法定労働時間を超えています。
従って、１時間分の通常の賃金＋割増賃金が必要になります。

次のような場合はどうでしょうか？

曜日	月	火	水	木	金	土	日
労働時間	8	8	8	8	8	4	休日

労働時間は全ての日で１日８時間以内ですが、１週間で４４時間になってしまいますので法定労働時間を超えてしまいます。
従って、４時間分の通常の賃金＋割増賃金が必要になります。

但し、就業規則や労使協定の作成次第では、この通常の賃金＋割増賃金を減らしたり、場合によってはなくしたりすることが可能です。
方法は、以下の変形労働時間制等を活用をしよう！！でご説明致します。

■2003年　トヨタ残業代未払い摘発

トヨタでは、社員が各自に割り当てられたパソコンに出退社時間を入力して会社に申告させていました。
しかし関係者によると、労基署の立ち入り検査で、社員が退社を申告した後にパソコンを使って仕事をしたことが分かる操作記録が残っていた例が見つかり、 サービス残業がなされていることが発覚したとのことです。

■2005年　スタッフサービス残業代未払い摘発

人材派遣最大手のスタッフサービスグループのグループ会社が、サービス残業をさせていたとして摘発されました。 その金額は2年分で53億6500万円にものぼっていました。
この事件は、大阪市に本社を置く同社の元副支店長(当時32)が03年12月に自殺したことにより発覚し、 この自殺は後に過労自殺と認定されています。

■2005年　関西電力残業代未払い摘発

関西電力は、54%の社員にサービス残業をさせていたとして摘発されました。
この事件は、労基署の立ち入り調査によって発覚したようです。
未払いの賃金は22億9700万円にものぼっていました。

■2008年　マクドナルド名ばかり管理職に対する残業代未払い摘発

マクドナルドは、店長が管理職にあたいするとして残業代を支払っていないことが発覚しました。
法律上の管理職とは役職をさすのではなく、実態上行っている仕事が管理職にあたいするかで判断されます。
しかし、マクドナルドの店長は従業員と同様の仕事をしているとして、 残業代が支払われないのはおかしいと、残業代支払いが決まりました。

労働基準法では、従業員には一斉に休憩を与えなくてはいけないという規定があります。
しかしいくら昼休みとはいえ、会社に電話がかかってきたら誰も出ないというわけにはいきません。
そこで、昼休みに日替わり交代で電話番をおいている会社は少なくありません。
では、この電話番は休憩中に行っているので労働時間にはならないかと言えば、答えは「No」です。
労働基準法上、休憩時間は自由に利用させなくてはなりません。
しかし、電話番は電話がなったら対応をしなくてはならない為、実質自由を拘束されていますので 労働基準法では労働時間と考えられています。

では、勘違いし易い労働時間になるものとならいものの例をあげてみましょう。
■労働時間になるもの
　・電話番
　・研修(出席が強制されているもの)
　・仕事の準備、後片付け

■労働時間にならないもの
　・定期健康診断

現在、週休２日制を規定している会社が多数見受けられます。
しかし、業務が多忙な為休日出勤を行っている会社は多数あると思います。特にIT系会社は、納期前になるとほとんどの従業員が、 休日出勤を余儀なくされているのではないでしょうか？
休日出勤をした場合は、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の３割５分以上の休日手当(割増賃金)を支払わなくてはなりません。

では事業主の皆様は、土日を休日に設定した場合の休日出勤の休日手当(割増賃金)はどうしていますか？
例えば、社員が
土曜日に休日出勤をした場合　⇒　休日手当(割増賃金)を支払う必要なし
日曜日に休日出勤をした場合　⇒　休日手当(割増賃金)を支払う必要なし
土日を休日出勤をした場合　⇒　１日分の休日手当(割増賃金)を支払えば良いとなります。

何故こうなるかというと、労働基準法上休日は１週間に１日与えれば良いとしているからです。
たとえ社内の就業規則で週休２日制(土日休み)としていても、週に１日休日を与えていれば 労働基準法上全く問題はなく、休日手当も必要ありません。

国民の祝日は、会社も休みであるという考え方が当たり前のように世間でははびこっていますが、これは間違いです。
労働基準法に、「国民の祝日は従業員も休みにするべき」といった規定はありません。
従って、国民の祝日に出勤させても休日手当(割増賃金)を支払う必要はありません。
「国民の祝日＝休みが当たり前」なのは学生までです。

管理職に割増賃金はいらない？という質問がたまにありますが、
答えは「No」です。

但し、管理職(正確には管理監督者)に必要な割増賃金は「深夜手当」のみです。
時間外労働に対する割増賃金、休日出勤による割増賃金(休日手当)は必要ありません。
これは管理職には、労働時間や休日の規定は労働基準法上適用除外にあたるためです。

では、管理監督者にあたる役職はいったいどこまでになるのでしょうか？
現場監督や事業所所長等客観的にみて現場の責任者が、これにあたります。
つまり、部長や課長であろうと従業員と同じよなた立場にあれば管理監督者にはあたりません。
管理職と管理監督者はイコールではないことに注意して下さい。

従業員を１日８時間又は１週間４０時間を超えて労働させた場合は、事業主は通常の賃金＋割増賃金を支払わなくてはなりません。 この時間を「法定労働時間」と言います。

但し、これはあくまで原則であり、以下の制度を利用すると割増賃金を削減したり、場合によっては支払わなくてもよくなることもあります。
　・１ヶ月単位の変形労働時間制
　・１年単位の変形労働時間制
　・１週間単位の変形労働時間制
　・フレックスタイム制

では、それぞれどういう制度でどういう利点があるかをみていきましょう。






それぞれメリットデメリットがありますので、皆様の会社にあった制度を利用しましょう。
弊社では、皆様の会社がどの制度に適しているかの診断も行っています。

裁量労働制とは、働いた時間にかかわらず労使協定あるいは労使委員会で 定めた時間(みなし労働時間)働いたものとみなす制度です。

つまり、従業員が１日に１０時間働いた場合であっても、みなし労働時間が８時間と定めてあれば残業代(賃金)を支払う必要はありません。

裁量労働制は２種類あり、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。

専門業務型裁量労働制とは、従業員を対象業務に就かせた時に労使協定で定めた時間分労働したと みなす制度であり、成果主義にしたい事業主に向いている制度です。
対象業務とは、以下の全てを満たした業務を言います。
　・業務の性質上その遂行方法を従業員に委ねる必要がある。
　・事業主が業務の遂行手段、時間配分の具体的な指示をすることが困難である。
　・厚生労働省が定める業務

企画業務型裁量労働制とは、従業員を対象業務に就かせた時に労使委員会で議決した時間分労働したと みなす制度であり、ホワイトカラー向けの制度です。
対象業務とは、以下の全てを満たした業務を言います。
　・企業運営に関する企画、立案、調査、分析の業務
　・業務の性質上その遂行方法を従業員に委ねる必要がある。
　・事業主が業務の遂行手段、時間配分の具体的な指示をしないこととする業務。

※注意
但し、「専門業務型裁量労働制」も「企画業務型裁量労働制」も休日労働や深夜労働に係る割増賃金までもが 免除されるわけではありません。

営業職の方は、外での仕事が大半を占めています。外での仕事は営業先と営業先との間を周る間に喫茶店で休憩していたり、 それなのに終業時間が過ぎてから戻ってきたりと実際の労働時間の把握が難しいのが実情です。
喫茶店で休憩している時間も賃金を支払っている上に、終業時間過ぎて帰社した場合にも残業代(賃金)を支払うのは、 事業主としては頭を悩ますところではないでしょうか？
そういった問題を解決するのが「事業場外みなし労働時間制」です。
この制度を利用すると、外で何時間仕事をしてこようが関係ありません。 その業務をする為に必要な時間労働したとみなすことができます。

例えば、終業時間が18:00の会社で営業職の人が19:00に帰社してもその業務をする為に必要な時間が18:00までで済むのであれば、 残業代(賃金)を支払う必要はありません。

残業代を減らせば確かに経営は楽になります。
しかし、会社にとって大事な財産は資産だけではありません。
そう！人材も大事な財産です。
残業代のカットばかり行っていると従業員の士気もさがり、 それがいずれは有望従業員退職への道にもつながりかねません。

退職従業員がでると、また新しい従業員を雇い入れ一から教育をしなければなりません。 新人教育は会社の中でもお金がかからることのランキング上位に上っています。 そういった意味でも、ただ単に経営が楽になるからといった理由で残業代のカットはせず、 いまある無駄を省くために行うことを念頭に考えることをお勧め致します。